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孫子の兵法の十三篇の名言を解説「第八章・九変篇」

孫子の兵法・第八章「九変篇」名言解説

【孫子の兵法・九変篇の名言を解説 書き下し文】

孫子曰く、凡そ用兵の法は、 高陵に向かうこと勿(な)かれ、背丘(はいきゅう)には逆(むか)うること勿れ、絶地には留まること勿(な)かれ、佯北(しょうほく)には従うこと勿かれ、鋭卒には攻むること勿れ、餌兵(じへい)には食らうこと勿れ、帰師には遏(とど)むること勿れ、囲師には必ず必ず闕(か)き、窮寇(きゅうこう)には追(せま)ること勿れ。此れ用兵の法なり。

孫子の兵法の名言君命に受けざる所あり

塗(みち)に由(よ)らざる所あり。軍に撃たざる所あり。城に攻めざる所あり。地に争わざる所あり。君命に受けざる所あり。

故に将 九変の利に通ずる者は、用兵を知る。将 九変の利に通ぜざる者は、地形を知ると雖(いえど)も、地の利を得ること能(あた)わず。兵を治めて九変の術を知らざる者は、五利を知ると雖も、人の用を得ること能わず。

是の故に、智者の慮は必ず利害に雑(まじ)う。利に雑じりて而(すなわ)ち務めは信(まこと)なるべきなり。害に雑じりて而ち患いは解くべきなり。
是の故に、諸侯を屈する者は害を以てし、諸侯を役(する)者は業を以てし、諸侯を趨(はし)らす者は利を以てす。

故に用兵の法は、其の来たらざるを恃(たの)むこと無く、吾れの以て待つ有ることを恃むなり。其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻むべからざる所あるを恃むなり。

故に将に五危あり。必死は殺され、必生は虜(とりこ)にされ、忿速(ぶんそく)は侮(あなど)られ、廉潔(れんけつ)は辱(はずか)しめられ、愛民は煩(わずらわ)さる。 凡そ此の五つの者は将の過(あやま)ちなり、用兵の災いなり。軍を覆し将を殺すは、必ず五危を以てす。察せざるべからずなり。

孫子の兵法、九変篇

【孫子の兵法・九変篇の名言を解説 現代語訳】

孫子は言った、孫子が言った、およそ戦さの基本的な運用は、将軍が君命を受け、軍を結集し統括するにあたり、圮地(ひち)に宿営してはいけない、衢地(くち)において諸侯と親睦を深め、絶地(ぜっち)留まることなく、囲地(いち)において抜け出る計略をたて、死地(しち)において懸命に戦う。

道路には通ってはいけない場所がある。敵には攻撃してはいけないところがある。城には攻めてはいけない時がある。土地には奪ってはいけない場所がある。君命といえども受けることのできないものがある。

それゆえ将軍が九通りの戦略で結果を出すことができるのは、軍の運用を熟知しているからである。将軍であるにもかかわらず九通りの戦略で成果を出せないのは、地形を知っていても、地の利を活かして成果をあげることは出来ない。兵を統治していても九通りの戦略を知らなければ、五通りの戦略は知っていたとしても、兵士を十二分に活用することは出来ない。

このように智者の思考というものは、必ず利益と損害を同時に考える。利益と損害を同時に考えれば必ず成功する。損害になる時にも利益を計算すれば、心配事も解消出来る。 

それゆえ諸侯を従わせるには利害を説き、諸侯を使うには事柄を強調し、諸侯を動かすには相手の利益を与えることである。 

それゆえ戦さの原則として、敵が来ないのを嘆頼りにするのではなく、自軍にいつ来ても良いように態勢を整えるのである。敵が攻撃してこないのを頼りにするのではなく、自軍に敵が攻撃することが出来ない備えがあるように整えるのである。

それゆえ将軍に五通りの危険なことがある。必死だけで戦うと殺され、生き延びることしか考えていないと捕虜され、短気で怒りっぽいと侮られ、清廉なのは侮辱され、面倒見が良すぎるのは人の世話で苦労する。 

およそこの五つは、将軍の不注意であり、兵を動かすにあたり災いをもたらす原因である。軍が敗れ、将軍が殺されるのは必ずこの五通りのいずれかにある。十分に警戒しなければならない。

以上、孫子の兵法十三篇の名言の解説「第八章九変篇」→「第九章・行軍篇」はこちらをクリック

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