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孫子の兵法・十三篇を解説

孫子の兵法の十三篇の名言を解説「第五章・勢篇」第五章・勢篇

孫子の兵法・第五章「勢篇」名言を解説

【孫子の兵法・勢篇の名言を解説 書き下し文】

孫子曰く、およそ衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが若くなるは、形名是れなり。三軍の衆、必ず敵を受けて敗なからしむるべきは、奇正これなり。兵の加うるところ、碬を以て卵に投ずるが如くなる者は、虚実是れなり。

孫子の兵法の名言凡そ戦いは、正を以て合し、奇を以て勝つ

凡そ戦いは、正を以て合し、奇を以て勝つ。故に善く奇を出だす者は、窮まりなきこと天地の如く、竭(つ)きざること江河の如し。終わりて復た始まるは、四時是れなり。死して復た生ずるは、日月是れなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからざるなり。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからざるなり。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからざるなり。戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからざるなり。奇正の環りて相い生ずることは、循環の端なきが如し。孰か能くこれを窮めんや。

孫子の兵法の名言激水の疾(はや)くして石を漂わすに至る者は勢なり

激水の疾(はや)くして石を漂わすに至る者は勢なり。鷙鳥の疾くして毀折に至る者は、節なり。是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして其の節は短なり。勢は弩を彍くが如く、節は機を発するが如し。乱は治に生じ、怯は勇に生じ、弱は彊に生ず。治乱は数なり。勇怯は勢なり。彊弱は形なり。故に善よく敵を動かす者は、これに形すれば敵必ずこれに従い、これに予うれば、敵必ずこれを取る。利をもってこれを動かし、卒をもってこれを待つ。

孫子の兵法の名言故に善く人を戦わしむるの勢い円石を千仞の山に転ずるがごときは、勢なり

故に善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず。故によく人を択てて勢に任ず。勢に任ずる者、其の人を戦わしむるは、木石を転ずるが如し。木石の性は、安なればす即ち静に、危なれば即ち動き、方なれば即ち止まり、円なれば即ち行く。故に善く人を戦わしむるの勢い円石を千仞の山に転ずるがごときは、勢なり。

孫子の兵法、勢篇

【孫子の兵法・勢篇の名言を解説 現代語訳】

孫子がいった、大軍を統制するのが小軍を統制しているように見えるのは、軍の統率力によるものである。大軍を戦わせているのに小軍を戦わせているように見えるのは、旗や幟(のぼり)がそうさせている。大軍の兵士が、敵の攻撃を受けても負けないのは、奇襲法と正攻法である。戦さに入ると、石で卵に投げるようにするのは、万全な態勢で相手の隙をつくからである。

およそ戦さは、正攻法で闘い、奇襲法で勝つ。それゆえ巧みに奇襲をかける者は、まるで天地のように果てなく、長江や黄河の水のように尽きることがない。終わって再び始まるのは、四季のようである。死んでまた生まれるのは、太陽や月のようである。音階の基礎は五つであるが、五音を組み合わせると無数で聴き尽くすことができないものだ。原色は五色であるが、五色を組み合わせると無数で見尽くすことができないものだ。味覚は五つであるが、五つの味を組み合わせると無数で味わい尽くすことができないものである。戦さの勢いは奇襲法と正攻法に過ぎないが、奇襲法と正攻法を組み合わせると無数で窮め尽くすことができないものだ。奇襲法と正攻法が合わされば、環の端がないようなものだ。誰が上手にこれを極めることができるものか。

激しい川の流れが石に押し出すような様は勢いである。鷲や鷹のように一撃で仕留める様は、節目である。それゆえに戦さの巧者は、その勢いは険しくその節目は切迫させる。勢いは弓を張るのようで、節目は弓を引くようなものだ。混乱は統治から生まれ、怯えは勇気から生まれ、弱気は強気から生まれる。統治するか混乱するかは部隊の数による。勇猛なるか怯えるかは勢いなり。強くなるか弱くなるかは形なり。それゆえ敵を巧みに誘導させる者は、形にすれば敵は従い、与えれば敵は取りにくる。利益で敵を誘い出し、裏をかいて待つ。

それゆえ戦さの巧者は、勢いを作り出すので、人に求めない。それゆえ人を選び出して勢いにまかせる。勢いにまかせる者が、人を戦わせてる様は、木や石を転がすようなものだ。木や石の性質は、平らなところでは静かに、傾くと動き出し、四角い場所なら止まり、円形ならば転がる。それゆえ巧みに人を戦わせている勢いは丸い石を千尋の山から転がしたようであるが、それが勢いというものだ。

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